レストラン今昔、続き
御成婚、オリンピックに万博と、慶事の続く良き時代、
日本は豊かになりました、
粋にめかした学生さん、洒落たワンピの彼女連れ、
ちょっと気取ってカフェブレイク、
バックのジャズは軽やかに、テーブルクロスも華やかな、
街の小さなレストラン、
豪華なディナーは食えないけれど、心はリッチにアラカルト、
太宰(だざい)あたりが茶菓になり、サルトル、安保で熱くなる、
今日の主役はあいつの彼女、好奇の視線ににっこりと、
軽くうなずき微笑み返し、フロアに一輪デビュタント
(初デビューのお嬢さん)
うそ寒し、オイルショックの不景気で、レストランにはご無沙汰だ、
チエンのファミレス勢いづいて、ホールに響く”チン”の音、
絵本みたいなメニュー出し、お子様ランチのラインアップ、
ここじゃデートは無理でしょう。
バブル来て、やっと来た来た春が来た、フレンチイタメシ、でかい顔、
ディスコの前にイカスミ食って、たらこ唇お歯黒隠し、
お気楽フレンチ、パンばっか、ボディコンヒョウ柄アンクレット、
ワンレンソバージュ足出して、連れの彼氏も足を出す、
それでもレストランはデートコース、
はじけます、地上げの果ての夢芝居、フレンチイタメシ青息吐息、
就職お預け大学生、バイト締め出しプータロー、
銀行金庫に金は無く、貸すに貸せずに貸しはがし、
なりふり構わぬリストラに、リストランテは死に絶えた、
日本のリストラ首切りで、洒落た店ほど辛くなり、
リストランテは死に絶えた。
粋とか洒落は煙たがられて、敗れジーンズ幅きかせ
飲み放題に騙されて、ビールの偽物飲まされて、
色付き焼酎飲まされて、腹だけふくれたメタボーズ
多少なり、春の気配の息吹して、ほっと一息レストラン、
昔懐かし団塊世代、青春時代を思い出し、
センチメンタルジャーニー気分、
少しは戻った若者に、昔のウンチク得意気に、昭和ふりまきでかい顔、
テーブルクロスは見た事ねー、ナイフやフォークも初めてで、
それでも必死に飯を食い、お洒落にチャレンジ、大学生。
桜咲く、春の頃には付いてくる、長雨嵐(ながあめあらし)サブプライム、
リストランテを吹き飛ばす、
原油食料とばっちり、売れもせぬのに値上がりし、不況の上塗り温暖化、
大義名分エコばっか、毒入り餃子で気がついて、冷凍捨てた奴もいる、
息絶え絶えのレストラン、おかげで首がつながった、
カップヌードル捨てちまえ、食うなチンメシインスタント、
メタボ糖尿なりたくなけりゃ、ゆっくり良い物食べなさい、
昔ながらの食い物を、今も必死に作ってる、
街のレストランの生き残り、シーラカンスかヨネザワか。
おいらの事だよー
2008(平成20)4月17日米沢徹