レストラン今昔ラップ
いにしえ(古)は、武士のたしなみ仏蘭西(ふらんす)料理、ホワイトナプキン
膝にかけ、茶の道ならぬテーブルマナー、刀持つ手でナイフ持ち、
カタコト英語でギヤマングラス、
中身はワインか心血か、青い目相手に言葉を選び、腹切る覚悟で飯を食う、
維新の前の晩餐会、
夜明けには、ザンギリ(散切り)頭で背広にブーツ、ベストにウヲッチゴールド
チェーン、ボルドー片手に西洋料理、スープにゃお邪魔なチョビ髭も、
やっと絵になる板に付く、食後スコッチオールドパー、
葉巻くわえて国事を語る、つがれた酒を飲む度に、
露西亜仏蘭西独英米(ロシアフランスドクエイベイ)まとめて一呑み大言壮語
洋食は、元々フレンチハイカラで、大正ロマンを連れてくる、ジャズにシャンパン
パナマ帽、ロクィシー六区に早変り、黒猫エログロナンセンス、
ジョニ黒あおるモボやモガ、蛮夫に睨まれ日陰者、
ジルバ隠して東京音頭、チャールストンは東海マーチ、
フレンチドイツに化けました
東京人、本当は洋食大好きで、カニコログラタン海老フライ、
シチューステーキポークソテー、庶民のあこがれ西洋料理、
やっと食えます俺たちも、そうは言うけどしみったれ、
どうせピラフかナポリタン、どうにかコロッケやっとこソテー、
アメチャン食ってるステーキを、横目でにらみ心に誓う、
今に見ていろ俺だって、肉のかたまり食ってやる、
あこがれの、西洋料理を手に入れて、後はお連れを探すだけ、
アイビースタイルばっちり決めた、道楽息子にバカ娘、
御幸(みゆき)通りにたむろする、
車ころがし青山銀座、麻布赤坂六本木、お茶にお食事ショッピング、
車も服もお食事も、全部親父の稼ぎです、父よあなたは偉かった。
食う筈だったフレンチも、ピザに乗っ取られ主役を張れず、俺等の心の片隅で、
すねて時々うずきます。
アメリカは、お米の国と言うくせに、米はよこさず毒キノコ、
頼みもせぬに喰らわせました、
キノコの毒雲強すぎて、人の心を狂わせた、頃合いはかってアメリカさん、
これを食べなともったいぶって、洒落た小箱をくれました、
こいつが例のハンバーガー、たらふく食わせてほくそ笑む、
おにぎりだったら座って食うが、こいつは平気で歩きながら、
これで侍ノーリタン、これで日本はノータリン、
続く